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魔法使いの弟子 原題:The Sorcerer s Apprentice 公開:2010年7月14日 時間:109分 監督:ジョン・タートルトーブ* 目次 魔法使いの弟子ストーリー 概要 キャスト 用語集ロケーション 楽曲 ストーリー 740年のイギリス*。偉大な魔法使いマーリン*には、マーリニアンと呼ばれる三人の弟子バルサザール、ヴェロニカ、ホルヴァートがいた。ホルヴァートは仲間を裏切り、邪悪な魔女モルガナ・ル・フェイ*と手を組んだ。モルガナがマーリンに致命的な傷を負わせると、ヴェロニカはモルガナの魂を自らの体に封じ込め、バルサザールがヴェロニカごとグリムホールドという入れ子人形の中に封じ込めた。バルサザールはマーリンから彼の子孫を見分ける竜の指輪を受け取り、彼の遺言で1,000年以上もホルヴァートやモルガナの弟子モルガニアンたちを封じながら、モルガナを倒せる彼の子孫を探していた。 2000年、アメリカ合衆国*のニューヨーク*。10歳の少年デイヴ・スタットラーは学校の遠足中、意中の女の子ベッキーからの告白の返事が書かれたメモが飛ばされてしまい、バルサザールの骨董品店に迷い込む。デイヴがマーリンの弟子だと確信したバルサザールは彼に龍の指輪を渡して弟子にしようとするが、デイヴがホルヴァートを解放してしまう。バルサザールとホルヴァートは激しい戦いの末、中国製の壺に10年間封じ込められ、デイヴは幻覚を見たといじめられて転校。ベッキーの返事を知ることもないまま彼女とはそれきりになる。 2010年、20歳になったデイヴはニューヨーク大学*に在籍中の物理オタク。校内のラジオ番組のDJとなったベッキーと再会したデイヴは、彼女の局のアンテナを直して親しくなる。その頃、壺から解放されたホルヴァートはモルガナの入ったグリムホールドとデイヴを追う。一足遅れて解放されたバルサザールはクライスラー・ビルディング*の鷲に乗ってデイヴを救出し、グリムホールドを手に入れるまでという約束で協力関係を結ぶことになるが、次第に二人の間に絆が生まれていく。 概要 映画『ファンタジア』(1940年)のセグメント『魔法使いの弟子』にインスパイアされた実写映画。製作のジェリー・ブラッカイマーをはじめ、『ナショナル・トレジャー』(2004年)のスタッフが集結している。 主演のニコラス・ケイジが「子供の頃に『ファンタジア』を見た感動を現代の家庭にも味わってほしい」と持ち込んだ企画だが、物語自体は全くのオリジナルであり、原典に登場する魔法の掃除シーンが登場するのみ。 当初は『ファンタジア』の『禿山の一夜』に登場する魔神チェルナボーグが登場する案とあったが、没となっている。 製作費は1.5億ドルに対し、興行収入は2.15億ドルだった。 映画のポスト・クレジットでは不審な人影が映り続編を匂わせているが、現状続編は予定されていない。 キャスト バルサザール・ブレイク ニコラス・ケイジ 大塚明夫 デイヴ・スタットラー ジェイ・バルチェル 山崎樹範 ジェイク・チェリー(少年期) 加藤幹夫 マキシム・ホルヴァート アルフレッド・モリーナ 石塚運昇 ベッキー・バーンズ テリーサ・パーマー 佐古真弓 ペイトン・リスト(少女期) ヴェロニカ モニカ・ベルッチ 五十嵐麗 モルガナ・ル・フェイ* アリス・クリーグ 一城みゆ希 サン・ロック グレゴリー・ウー - ドレイク・ストーン トビー・ケベル 桐本琢也 アビゲイル・ウィリアムズ* ニコール・インガー 三ツ木勇気 ベネット・ザロー オマー・ベンソン・ミラー 桜井敏治 オリバー・ツイストメイヤー ロバート・キャプロン マーリン ジェームズ・スティーヴンス 柴田秀勝 ナレーター イアン・マクシェーン 有川博 中国人女性 ワイ・チン・ホー NYU店員 マニシュ・ダヤル 壺の持ち主 島香裕 強盗 三宅健太 吹替版:2010年8月13日公開。 ※Blu-ray・DVD収録その他:三ツ木勇気、落合弘治、石井隆夫、ちふゆ、相原嵩明、加藤悦子、宮澤正、加藤拓二、宮崎亜友美、鶴岡瑛梨、遠藤純平、小林明音、河口瑛将、土田剛、間ヶ部映実、岡野磨優、町田百恵、小柴大河 翻訳:村上美智子*、演出:鍛治谷功* 用語集 ロケーション アメリカ合衆国*のニューヨーク*エンパイア・ステート・ビル* 楽曲 魔法使いの弟子
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《小さな魔法使い》 速攻魔法 (1) 自分の手札もしくはデッキから魔法少年または魔法少女に分類されるレベル4以下のモンスター1体を選択して 自分のモンスターゾーンに特殊召喚する。 手札コスト以外使い道がないカードネタで作ったネタカード。主にカード効果を発動する為もしくはカードを維持する為の手札コスト用。 遊戯王に魔法少年・魔法少女の概念はなく、故にこの分類そのものは存在しない為、フリーデュエルで使用する場合、デュエル開始前にどのカードを魔法少年・魔法少女として扱うか予め取り決めを交わす必要性がある。また、当然ながら公式カードでない為、公式デュエルでは使用できない。
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前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い 魔法学院から馬でたっぷり三時間、王都トリスタニアに辿り着いた柊とルイズがまず向かったのは王城直近にある仕立屋だった。 何でも着の身着のままでハルケギニアに召喚されたエリスのために服を用意していたらしい。 ルイズにそう説明されて柊はそう言えば前の虚無の曜日になにやら人が来てエリスの採寸やらをしていたのを思い出した。 ちなみに柊の分はない。 もっとも彼が身に纏っているコート――『スターイーグル』はこう見えてファー・ジ・アースの魔法技術を使ったれっきとした魔道具であるので換えは利かないし、 身なりにこだわるという訳でもないので特に不満はなかった。 とはいえせめて肌着くらいは欲しいので頼んでみたところ、あっさりと了承された。 そして店員からうやうやしく運ばれてきた荷物を見て……柊は眉を潜めてしまった。 文字通りで山のように衣装箱が積まれているのだ。 アニメや漫画ではよく見る描写だが実物を見るのは初めてだった。 その荷物の山を見て満足そうに頷くと、ルイズはそれを放置して店を出ようとした。 「どうすんだよ、これ」 と尋ねてみると、彼女はさも当然のように柊に言った。 「あんたが持つのよ。ゲボクなんだから当たり前でしょ?」 ※ ※ ※ 「……便利なのね、月衣って」 王都で一番大きいブルドンネ街を歩きながら、ルイズは嘆息交じりにそんな言葉を漏らした。 「まあな」 彼女の隣を歩きながら答える柊は荷物を何一つ持っていない。 仕立屋で出された荷物は片っ端から月衣の中に収納してあるのだ。 ウィザードが纏う簡易結界である《月衣》の収納能力は物の重量こそ無視できないものの、その大きさは一切問わない。 要するにそのウィザードが持ち得るのならそれこそスペースシャトル並みの大きさがあったとしても構わず収納できてしまうのだ。 幸い箱の数は多かったが重さ自体はさほどでもなかった(何しろ服一着に箱一つだ)ので総て月衣に収納しても少々の余裕はあった。 「エリスも月衣が使えなくなった時、不便だって言ってたしな」 言いながら柊は町並みをきょろきょろと見回した。 似たようなファンタジー世界のラース=フェリアで少しばかり過ごしていた事があるので、別段トリスタニアの町並みが珍しい訳ではない。 だが初めて来た場所を観察して見たくなるのは仕方のないことだろう。 「エリスが月衣を使えなくなった……って、あの子もウィザードなの?」 「元、な。色々あって今はもうウィザードの力をなくしてる」 柊の言葉にルイズは僅かに顔を傾けた。 そして彼女は探るように柊を見上げると、ほんの少しだけ声色を翳らせて言った。 「……あの子も、あんたみたいに凄い力を持ってたの?」 「別に俺は凄かねえけど……」 言って柊はルイズから眼を逸らして、空を見上げた。 表情を読めずに怪訝な顔をするルイズをよそに、柊は僅かな沈黙の後、答える。 「あいつは普通のウィザードだったよ。特別なんか何もねえ、俺達と同じ普通の奴だ」 二人がうらぶれた通りにある武器屋に入ると、来客に気付いた店主の面倒くさそうな視線が出迎えた。 しかし店主はルイズの姿を見て取ると途端に慌てて駆け寄り、恭しく頭を下げた。 「貴族のお嬢様。うちは真っ当な商売をしてまさぁ。お上に目をつけられるようなことなんざ、これっぽっちもありませんや」 「客よ。剣を見せてちょうだい」 「剣? お嬢様がお使いになられるので?」 「使うのはあいつ」 ルイズは店内に飾られている剣を物色している柊を指差すと、彼に向かって声をかけた。 「剣を使うんなら目利きくらいできるんでしょ? どれがいいの?」 「あ? あー……」 言われて柊は思わず渋い顔をしてしまった。 何しろウィザードに覚醒してからこっち、継承した魔剣一本で戦い続けてきたのだ。 剣を見る眼などないも同然だった。 「いや、実はよくわかんねえんだけど……」 「なにそれ……あんた剣士じゃないの?」 「自分、剣士じゃなくて魔剣使いっすから……」 照れ臭そうに頭をかく柊にルイズは嘆息すると、店主に向き直って投げやりに口を開いた。 「……あいつが使えそうなのを見繕ってやって」 「へえ、お任せを!」 言われて店主は顔を輝かせ、意気揚々と店の奥へ引っ込んで行った。 ややあって店主は大振りの剣を手に戻ってくる。 ルイズはそれを見て思わず感嘆の息を吐いた。 白銀に輝く刃や様々に宝飾が施されたその大剣は見るからに店内にある武器とは一線を画しており、貴族たるルイズからすれば気に召すのも当然だろう。 「この店一番の業物、ゲルマニアのシュペー卿が鍛えし名剣でさ。お嬢様のお付きならこれぐらいは下げていただかねえと」 「まあそうね。ゲルマニアってのがちょっと気に入らないけど……でも、よくこんなものがあったわね」 「へえ、最近『土くれ』のフーケとかいう盗賊が城下を騒がしてるそうで。そいつが貴族様方のお宝を好んで頂くってんで、下僕に剣を持たせるのが流行ってるようでさ」 「ふぅん……」 お愛想全開な調子の声を聞きながらルイズは大剣をまじまじと観察し、次いで柊に眼をやった。 「これでいいんじゃない?」 「剣ならなんでもいいんだけど……これ、高いんじゃねえか?」 「そりゃもう。何しろこれほどの剣はこのトリスタニアでも片手ほどもありやせんし」 店主の言葉に柊は渋面を作ったが、一方でルイズは平然としていた。むしろ希少価値があることでより気に入ったようだ。 ルイズは満足そうに頷くと、勝気に腕を組んで口を開いた。 「で、いくらなの?」 「へえ、エキューで三千……と言いたい所でやすが、お嬢様になら特別に二千で結構でさ。新金貨なら三千でやすな」 「!?」 もったいぶった店主の言葉にルイズが固まった。 明らかに尋常ではない彼女の様子に柊は恐る恐る尋ねてみる。 「……エキューで二千って、高いのか?」 ここでようやく柊は自分がこの世界の貨幣価値について何も知らなかった事に気付いた。 何しろ召喚されてからこっちずっと学院の中で過ごしていたため、金銭が必要になる場面が全くなかったのだ。 先程の仕立屋でも金銭回りについてはルイズが勝手に取り仕切っていたのでそこに触れる機会はなかった。 柊の問いにルイズは肩を小さく震わせながら、答える。 「……庭付きの屋敷が買えるわ」 「ぶぅっ!?」 予想の斜め上を行き過ぎた答えに思わず柊が噴き出した。 しかし言い出した当の店主はさも当然とばかりに一つ頷いてしたり顔で語る。 「名剣は新城に匹敵しやすぜ。屋敷ですむなら安いもんでさ」 この値段は流石にルイズも予想外だったらしく、渋面を作って口の中で何事かを呟き考え込んでいる。 「お、おい……ルイズ?」 明らかに法外な値段に思えるのに何故か考え込んでいるルイズを見て、柊は不安になっておずおずと声をかけた。 それが契機になったのだろうか、彼女は小さく頷くと顔を上げ、店主に向かって言った。 「それでいいわ」 「へぇ、毎度ッ!!」「おいーっ!?」 店主の喜び勇んだ声と柊の悲鳴が重なった。 決断を下して満足気になっているルイズに柊は詰め寄り、泡を食って口を開く。 「お、お前っ! そんな大金あるのかよっ!?」 「そういえば手持ちはなかったわ。小切手でいいわよね?」 「勿論でさ! 少々お待ちを!」 「違ぇ! そういう意味じゃねえよ!」 いそいそとカウンターに引っ込んでいく店主をわき目に柊は慌ててルイズの肩を掴んで振り向かせた。 「家買えるような金をなんで持ってんだよ! さっき値段聞いて固まってたじゃねえか!」 「たかが剣一本がそんな値段ってのに驚いただけよ。額自体は出せないほどじゃないし」 「おかしいおかしい……! お前なんか金銭感覚が……って、あ!?」 ルイズの肩を揺らす柊が唐突に小さく呻き、顔色を変えた。 そして月衣から衣装箱を一つ取り出して彼女の前に突きつける。 何もない場所から唐突に現れた箱に店主が眼を剥いたが、そんな事を気にする余裕は今の柊にはなかった。 「こ、これ……これ! エリスの服! これはいくらなんだ!? あと俺が買ってもらった奴も!」 「うるさいわね……最低限のものでいいってエリスがしつこく言うから、全部合わせても千エキューは超えてないわよ。あんたのはどうでもいいから……三着で百くらい?」 「……」 二千エキューで庭付き一戸建てが買えるのなら、大体一エキューで一万円は下らないだろう。 エリスの服が総額約一千万円。肌着三着で約百万円也。 柊は目の前が暗くなった。 どうやらエリスは貨幣価値などについて知っていたようだが、根本的に『貴族』であるルイズの金銭感覚を読み誤っていたらしい。 柊は自分達とルイズの間に『格差』という巨大な二文字が横たわっているような錯覚を感じた。 「お嬢様、小切手はこちらで」 「ええ」 「! ま、待て! 待てぇっ!?」 いそいそと小切手を差し出す店主の動きで柊は我に返り、声を上げた。 煩わしそうにねめつけてくるルイズと邪魔臭そうに睨みつける店主の前で、柊は身振りも加えて必死に叫んだ。 「そんな高っけえのいらねえって!!」 無論剣を手に命懸けで闘ってきた柊としては剣の性能が良いに越したことはなく、性能に見合うならば多少値段が張っても気にすることはない。 実際彼の纏っている『スターイーグル』やファー・ジ・アースで手にする予定であった新しい魔剣の改造費用もそれなりに高額だ。 そしてそれらの費用は総て柊が自腹で賄っている。 これは卒業した後で気付いた事なのだが、ふと思い立って自分の預金を調べてみたところ驚くべきことにこれまで一年間引き回されていた分の依頼の報酬がちゃんと支払われていたのである。 普段好き勝手に柊をいじくり回すアンゼロットではあったが、こういう点に関してはきっちりとこなしてくるので彼としてはぐうの音も出せないのであった。 ともかく。 自分の使う得物である以上柊はなるべくなら自分の手に収まる範囲で済ませたいのである。 場合によっては援助を受けることもやぶさかではないが、現状世界の存亡だのと言った問題とは無縁なこのハルケギニアにおいてそこまでしてもらう道理はなかった。 しかし言われたルイズの方からすればそうでもなかったようで、彼女は苛立たしげに腕を組んでから柊を睨みつける。 「アンタはわたしの護衛でしょ! だったらそれに見合うだけのものを身に着けるのが当然なの! みすぼらしい剣なんか帯びさせてたらラ・ヴァリエールの沽券に関わるわ!」 「……ヴァリエール?」 そこで声を上げたのは柊ではなく、脇に控えていた店主だった。 小切手を持っていた手を僅かに震わせて、ルイズの顔を窺うようにしておそるおそる口を開く。 「ヴァリエールって……"あの"ヴァリエール?」 「……トリステインにヴァリエールは一つしかないはずだけど?」 口を挟まれて苛立ちが増したのか、不機嫌さをあらわにしてルイズは店主に言う。 すると彼は表情を固まらせたまま顔色だけが青くなった。 ヴァリエール家といえばトリステインでは間違いなく五指の内に入るほどの名家中の名家なのだ。 王室からの覚えもよく、トリスタニアで生活するのならまず間違いなく耳にする家名である。 そんな名家の人間がこんな場末の武器屋に顔を出すなど笑い話にもならないのだが、片田舎ならばともかくトリスタニアで貴族を騙るにはヴァリエールの名は巨大すぎる。 (するってえと……本物?) 店主は戦慄した。 ヴァリエール家の人間に剣を高値でふっかけ、買わせかけたのだ。 もしも後に事が露呈すれば、店の存続どころか命の存続すらも危ぶまれる。 少なくともそうできるだけの力が、ヴァリエール家にはあった。 「大体剣なんて振って斬れりゃあそれでいいんだよ! 宝石とかなんとかそんなみてくれなんて必要ねえだろ!?」 「ゲルマニアの蛮人みたいな事言うんじゃないわよ! トリステインには格調というものがあるの! わたしがいいって言ってるんだからこれにしなさい!」 なりふり構わず訴える柊を一蹴するようにしてルイズは吐き捨てると、店主の手から小切手をもぎ取ろうと手を伸ばした。 今の店主から見れば死刑執行書にも等しい小切手を奪われそうになって、店主は慌てて小切手を背中に隠し呻く。 「お、お嬢様……お嬢様っ!」 「なによ。お金ならちゃんとあるわ、見くびらないで」 「お嬢様の言う事ももっともでさ! しかし……しかし、剣には使い手との相性ってもんがありやす! 実際剣を振るのはそちらの旦那ですから、旦那の望む剣にしておいた方がよろしいかと!」 「……あんたさっき名剣は新城に匹敵するって言ってなかった?」 「た、確かに言いやしたが……使い手との相性が合わねえといかな名剣、新城とてハリボテ同然でやす! ほらよく言うでしょう、『一流の使い手は武器を選ばない』と!」 「そ、その通りだ! 良い事言うな親父!」 「あたぼうよ、伊達に武器屋はやってねえぜ!?」 思惑は別として利害が一致した柊と店主が結託して頷きあった。 ルイズはその様子を険の入った表情でしばし見つめた後……はあと諦めたように溜息をついた。 「……わかったわよ。それなりの剣の腕だってのは知ってるし……」 渋々と言った体で吐き出したルイズの言葉を聞いて、柊と店主は心の中で違う意図のガッツポーズを決めた。 「それじゃどれがいいのよ。好きなの選びなさい」 「お、おう。それじゃとりあえず……親父、一番安いのは?」 「えっ? あ……安いってのならそっちの樽に突っ込まれてるのが投げ売りものでさ」 柊に言われて、最悪は回避したが実入りも消し飛んだことに気付いた店主が沈んだ調子で店の端にある樽を指差した。 柊に同調した手前彼の言を無下にすることはできなかったが、それでも店主は抵抗を試みる。 「けど、そっちにあんのは中古だったり傷物だったりでガラクタ同然の奴ですぜ。せめて新品の方が……」 「いい。これ以上びた一文使いたくねえ」 「ちょっとあんた、わたしにガラクタを買わせるつもりなの!?」 「問題ねえ。親父も言ってたろ、一流の使い手は武器を選ばねえってな」 普段ならそこまで自信過剰に言い切ることなどないが、今だけはとりあえず乗っておく。 確認を怠った自分のせいとはいえルイズに高額の負債を背負ってしまった身としては、もはや剣の体裁さえ保っていれば何でもよかったのである。 検分を始めて見ると、大方は店主の言ったとおりガラクタ同然の代物ばかりだった。 どれもこれも錆が浮き上がっていたり曲がっていたりのこぎりのように刃が欠けていたり、およそ使えそうな得物はない。 一縷の望みをかけて鞘に入った剣を抜いて見るが、それらもやはり中身の剣身は同じようなものばかりだった。 それでも棚に飾ってある新品の剣は見るのが(正確にはその値段を見るのが)怖いので柊は樽の中古品の検分を続けていく。 そして何本目かの鞘つきの剣を手に取ると、不意に店主が小さく声を上げた。 「あ、それは……」 店主の反応が少し気になったが、柊は構わず剣を鞘から抜いた。 すると唐突に低い男の怒号が店内に響き渡った。 『コラァ、いつまでほったらかしにしてやがんだ!』 「うおっ!?」 柊は驚いて周囲を見回したが、店内には三人の他に誰もいない。 柊と同じように驚いているルイズの横で、店主が頭を抱えて天井を仰いだ。 柊は再び剣に視線を戻し、眉を潜めた。 「……もしかしてコイツか?」 『おうよ、他に誰がいるってんだ』 「インテリジェンス・アイテム……でいいんだっけ?」 ファー・ジ・アースでも通っている名称でルイズに尋ねてみると、彼女は店主に視線を向けた。 「へえ、お察しの通りインテリジェンス・ソードでさ。あんまりにも口が悪いんで黙らしてたんでやすが……そんな所に紛れてやがったのか」 『ふざけんじゃねえよ! 俺様をこんなくず鉄共と一緒にしやがって!』 うんざりといった口調で店主が漏らすと、剣は怒気も露に叫んだ。 ルイズも不快そうに眉を顰めて剣を見やり、そして柊も少し呆れたようにため息をついた。 「お前も錆びてんじゃねえか……」 見れば確かにこの剣も他の武器と同様に錆が浮いていた。 薄手の両手剣で使い勝手としては以前使っていた魔剣に近しい。 作り自体もしっかりしていたが……いかんせん錆があってはその性能は推して知るべしといったところだろう。 要するに購入する剣としては考慮外の代物だ。 「今度から大人しくしとけよ。じゃあな」 『待て待て! 出逢いはもっと大切にしようぜ!?』 鞘にしまおうとした柊に剣が慌てて口を挟んだ。 『俺を発掘してくれたよしみだ、悪いようにはしねえぜ?』 この手のタイプは非常に面倒くさそうな事になりそうなので柊は思い切り眉を顰めてしまった。 ルイズも剣を見ながら小さく「……うざっ」と呟いた。 二人の反応をよそに剣は自分を手にしている柊を値踏みするように沈黙すると、 『……ふぅん。おめえ、幸薄そうな顔つきのワリに結構やるみてえだね』 「やかましい。……わかるのか?」 『まあな。俺様は特別だかんね』 「特別ねえ……」 うさんくさげに柊は剣を見やったが、剣の方はそんな事を気にもせずに言葉を続けた。 『……まあいいか。おめえに使われてる方がこのまま埋もれてるよりはマシだろ。てめ、俺を買え』 「いや要らねえ」 『即答!?』 愕然と声を上げた剣に柊は生暖かい視線を向けたまま口を開く。 「いくらなんでも錆びた剣はないわ。それに俺、喋る魔剣とか人化する魔剣とかあんま好きじゃねえんだよ。……データ的にそんな強くなる訳じゃねえし」 『メタな事言うんじゃねえよ!?』 わめく剣にいい加減嫌気が差したのか、脇からルイズがヒイラギに向かって口を挟む。 「……ちょっとヒイラギ。もうそんなのほっといてさっさと選びなさいよ」 「あいよ」 答えて柊は剣を鞘に戻そうとすると、完全に鞘に収まる直前、剣がくぐもった笑い声を上げた。 『フッ……みてくれだけで選ぶたあ、おめえも所詮二流の使い手だね。そこのお飾り好きな娘っ子と変わんねえや』 「……あん?」 先程のやり取りはともかくとして、柊自身は自分を一流だとは思っていない。 だが、他人にそう言われるとやはり気に障るものだ。 それはルイズも同じだったようで、彼女は肩を怒らせて剣に一歩詰め寄った。 「なによ。じゃああんたはみてくれだけじゃないっての?」 『俺は特別だって言ったじゃねえか』 再び引き抜かれた剣は偉そうにそんな事を言うと、胸を張るように僅かに身体を揺らせて言った。 『耳をかっぽじって良く聞きやがれ。この俺、デルフリンガー様はな――――六千年前から生きてる由緒正しき魔剣なんだぜ!?』 前半と後半でわざわざためを作って芝居がかった風に剣……デルフリンガーが叫ぶと、店内が静まり返った。 「その妄言は初めて聞いたな。大きく出やがって」 店主は肩を竦めて失笑した。 「六千年って始祖ブリミルの時代? あんた、外見だけじゃなくて中身まで錆びてたの?」 ルイズは大いに眉を潜め、怒りを通り越して呆れを含んだ声でそう言った。 そして柊は、 「ふーん。で?」 驚くでもなく呆れるでもなく、デルフリンガーを見つめたままそんな事を言った。 『あれ、なんだその反応?』 「いや、だからどこが特別なんだよ」 『そりゃ俺が六千年前から……』 「……それくらいなら普通だろ?」 『「普通っ!?」』 ルイズとデルフリンガーが声を揃えて叫ぶ。 柊はおもむろに頷き、遠い眼をしながらしみじみと語った。 「俺が前持ってた魔剣だってミッドガルドで二万年ばかり過ごしてるし。知り合いの持ってるヒルコっつー剣は何千万年前だかに生まれたらしいし。 聞いた話だと四十五億五千万年前から継承されてる剣ってのもあるな」 「よ、よんじゅう……なんですって?」 「四十五億五千万年。まあ俺の世界の話だけどな」 「……」『……』 臆面もなく言い切る柊をまじまじと見やった後、ルイズは頭痛を堪えるようにこめかみに手を当てて唸った。 「あんた……そういう事いうから胡散臭いのよ!」 「本当の事だからしょうがねえだろ……」 柊は嘆息交じりに答えた後、改めて『普通』のデルフリンガーを見やった。 彼(?)は柊の台詞を聞いた後黙り込んだまま、カタカタと身体を震わせていた。 二人が反応を待つことしばし。 デルフリンガーは裏返った叫び声を吐き出した。 『うるっせえ!! 無駄に年月重ねてりゃ凄ぇって訳じゃねえんだよ!!』 「キレた!?」 「というか言いだしっぺのお前が言うな!?」 『いいの! 俺はいいの!! なんたって俺にはそこらの魔剣なんか眼じゃねえ凄い能力があるんだからよ!!』 「能力?」 そこでようやく柊が食いついた。 確かに錆付きの剣というだけなら論外だが、何がしかの能力があるというなら話は別である。 しかしデルフリンガーの方はといえば、何故か再び黙り込んでしまった。 そして彼は厳かな声で力強く言い放つ。 『……長い事使ってねえんで忘れちまったが、凄い能力があったような気がする!』 「意味ねえ!?」 『意味あるよ、超あるよ! 今は使えねえけど、思い出したら使えるようになんだろぉ!? ほらアレだ、敵の放った系統魔法を吸収したり! 吸収した魔法の分だけ使い手の身体を動かしたり! そういう事ができるようになるかもしんねえぜ!?』 「ほー。じゃあその内あらゆる空間と結界を斬り裂く能力とか、神の如き因果や運命を持つモノを斬り裂く能力とかが生えてきたりすんのか」 『場合によってはそうなるかもわからんね!』 「……別のにすっか」 「そうね」 『あ、待て。いや、待って下さい』 ついに下手に出始めたデルフリンガーを見かねたのか、それまで三者のやりとりを微妙な視線で見守っていた店主が話を切り出した。 「……旦那。デル公も何やら執心のようですし、何かの縁と思って買ってくれやせんか。お安くしときますんで」 「えー? 嫌よこんな胡散臭い剣!」 「錆び付きだけど能力持ちの剣か……」 ルイズはあからさまに嫌そうな顔をして声を上げる。 だが柊は(不明ではあるが)能力的なメリットに一考の価値はあると判断したのか店主に向き直り、尋ねた。 「……ちなみに、いくらくらいで売ってくれんだ?」 「厄介払いも込みで新金貨百でどうでやしょう」 「それでも百もすんのかよ……」 「これぐれえの剣の相場が二百でやすし、デル公はこんなでもれっきとしたインテリジェンスソード……魔法が付加された一品でやすから。錆がなけりゃあこの百倍は下りやせんぜ」 「マジか……」 いまいち相場が理解できない柊は小さく唸って考え込んでしまう。 するとデルフリンガーが声を上げた。 『なんだ、文句あんのか? だったらタダでいい、俺を連れてけ!』 「!? て、てめえデル公、何言ってやがんだ!」 泡を食って叫ぶ店主に、しかしデルフリンガーは逆に噛み付くような勢いで言葉を続けた。 『コイツは俺をこけにしやがった。断固許せん! 男にはな、どんなに安くても引けねえ戦いって奴があるんだよ……!』 「耐久消費財の分際で生意気な事言ってんじゃねえぞ!」 『うるせえ、俺はもう決めたんだよ! 四の五のほざくようなら娘っ子に言っちまうぞ!』 「あぁ!?」「?」 店主は肩眉を吊り上げ、そして唐突に話を振られたルイズは訝しげに首を傾げた。 そしてデルフリンガーは声を落とし、呟くようにしてぼそぼそと喋り始めた。 『鞘に収まったら喋れねえけど、会話は聞こえてんだからな。おめえがそこの娘っ子に何ちゃら卿とかいうののナマクラを――』 「うわあぁあああっ! 待て待て待て待てぇーー!!」 店全体を揺らすような店主の叫び声が響き渡った。 ※ ※ ※ 『まーそんな訳でよろしくな、相棒』 武器屋を後にして開口一番、デルフリンガーが心なし喜色を称えて言った。 路地裏を歩く二人の表情は優れない。どちらかというとうんざりと言った表現が正しいだろう。 溜息をつく柊はもちろんのこと、ルイズの方がより落胆が大きいようだった。 「なんでそんな胡散臭い剣なんか……」 ルイズはこれ見よがしに何度目かになる溜息を吐き出す。 柊もルイズと同じように気を吐きながら答えた。 「しょうがねえだろ。親父に泣きつかれちゃさあ」 武器屋でのやり取りの後、何故か店主は態度を翻してデルフリンガーをもらってくれと頼まれた。 柊はデルフリンガーと店主の会話の端からなんとなくその理由を把握したがルイズは聞き取れなかったようで、なおシュペー卿の剣を選ぼうとしたのだ。 するとデルフリンガーがせっついて店主がしつこく頼み込む。 仕方ないので柊がデルフリンガーを選ぶことで落ち着いた。 ちなみに、流石にタダでもらうのは気が引けたので、半額の新金貨五十で買うことにした(そしてルイズはそれを渋った)。 「まあアンタがどうしてもっていうから折れてあげたけど……なんで鞘を貰わなかったのよ」 ルイズは柊の手に握られているデルフリンガーをジト眼で睨みつけながら呟いた。 デルフリンガーは鞘に収めていれば喋る事ができなくなるそうで買った時に一緒についてくるはずだったのだが、柊がそれを断ったのである。 それをデルフリンガーが喜んだのは言うまでもなく、そのおかげか彼は上機嫌なのであった。 「だって俺、鞘は使わねえんだよ……」 『うんうん、中々いい心がけだぜ相棒! おかげで俺の好感度がぐぐっと上がったね、だいたい一万八千ぐらい!』 「小豆相場より上下が激しいじゃねえか。どこの対戦型ギャルゲーだよ」 嘆息しながら柊は返し、そして軽くデルフリンガーを構えて正面から睨みすえた。 「……お前、これで実は能力がねえとか言ったらへし折って捨てるからな」 『安心しな、ちゃんと折り紙つきの能力を持ってるぜ。だが……今はまだ使う時じゃねえんだ』 「……」「……」 柊とルイズは黙り込んでデルフリンガーを見つめた。 『その眼……疑惑をやめぬ瞳……』 明らかに胡散臭げな視線を放つ二人にデルフリンガーが呻く。 『ならば! 体裁を取り繕う必要はないな……退屈のために変えていたこの姿でいる必要も……ない!!』 「はあ?」 「お前何言っ……うお!?」 柊が訝しげに眉を潜めたとたん、手にしていたデルフリンガーが唐突に光を放った。 慌てて周囲を見回して人がいないことを確認すると、柊は改めて驚愕の視線をデルフリンガーに向ける。 デルフリンガーから放たれる光は刀身全体を包み込み、やがて―― 『そうだ!! これが俺様の真の姿――インテリジェンスソード・デルフリンガー! 設定年齢六千歳、蟹座のB型!!』 「「し……新品だっ!!」」 錆び一つない、白銀に輝く刀身が露になった。 「ってか、蟹座とか血液型とかあんのかよ! ハルケギニアにはよぉ!!」 『よくわかんねえが相棒に握られてたら勝手に思い浮かんだ。ふしぎふしぎ』 「こいつ……」 理不尽さに眉をしかめながらも、柊はとりあえず姿を変えたデルフリンガーをまじまじと見やった。 見れば確かに、武器屋にあった時には至る所にあった錆がどこにも見当たらない。 作り自体は元よりしっかりできていたので、新品同然となった今ではシュペー卿とやらの剣と比べても全く遜色はないだろう。 だが―― 『はーははは! どうよ、相棒に言われて必死に思い出したんだぜ! 他にも何かあったような気がするけどおいおい思い出すだろ……見直したか!?』 それを補って余りあるほどにやかましい。 得意絶頂になっているデルフリンガーに眉を顰めながらルイズは柊を睨んだ。 「ねえ、本っ気でうるさいんだけど。今からでもいいから鞘貰ってきなさいよ」 「だから鞘は使わねえんだって……」 「だったらこのまま喋らせとく気? 学院から追い出されるわよ?」 「いや、こうすれば多分大丈夫」 言いながら柊は軽く腕を上げると、手にしていたデルフリンガーを月衣へと収納した。 『お? おおお?? おおおぉぉっ!?』 奇声を上げながらデルフリンガーの姿が掠れ、虚空の中に消えていく。 その存在が完全に消失すると、歩いていた裏通りに静寂が戻った。 「まあ、こんな感じだから月衣から出すたびに鞘から抜くと二度手間になっちまうんだよ。鞘にも能力があるってんなら別だけど」 「……なるほどね」 とりあえず頷いてはみたものの、ルイズとしては少しだけ納得がいっていなかった。 確かに月衣の中に入れている間は静かになるだろうが、取り出す度にさっきみたいに喚かれるのではないのだろうか。 それを聞こうとして彼女は口を開きかけ、ふとある事に気付いた。 別に大した事ではないが、ちょっとだけ興味がわいたのだ。 「ちょっと聞いていい?」 「なんだ?」 「月衣の中って、どうなってんの?」 「俺にもわかんねえ。基本的に生物は入れられねえし、どうなってるかなんて――」 答えながら柊はルイズの質問の意図に気付いてはっとした。 そしておもむろに月衣からデルフリンガーを取り出す。 『……うおお、なんだ今の不思議空間は!?』 出てくるなり悲鳴を上げたデルフリンガーに二人は興味津々と言った表情で詰め寄った。 「なあ、デルフ。月衣の中ってどうなってんだ?」 『お? おお、そりゃああれだ、なんていうかこう……凄くて……凄くて……凄かった!!』 「貧弱な語彙の感想だなぁおい……」 「所詮は剣って事ね……」 落胆も露な二人をよそに、デルフリンガーは柊に向かって叫んだ。 『おい相棒、なんだよ今のは!? あんな所に入れられるなんて聞いてねえぞ!?』 「そりゃ言ってないもんなぁ」 『ひ、酷い……騙したのね! ワタシのカラダだけが目当てだったの!?』 「まあ実際問題、お前の剣身(カラダ)にしか用はないわな」 『あなたはケダモノよォー!!』 芝居がかった微妙な裏声でデルフリンガーが叫んだ。 いい加減相手をするのがイラついてきた柊が口を開きかけたが、それより先に酷く冷め切ったルイズの声が響く。 「……いいこと思いついた」 「ル、ルイズさん?」 『ど、どうした娘っ子』 思わずかしこまってしまった二人を他所に、とうに怒りを通り越えたルイズはデルフリンガーを見据えながら言った。 「さっき武器屋で、コイツは錆がなければ百倍以上って言ってたわよね。コイツを売って新しいのを買いましょう」 「それだ!?」 『ノーモア転売!?』 眼から鱗が落ちたように相槌を打つ柊と、泡を食って悲鳴を上げるデルフリンガー。 『ま、待て! 待ってくれよ!』 「待たない。さっきの武器屋で売るのは流石にアレだから……そうね、せっかく王都に来たんだしアカデミーに行きましょう。 インテリジェンスソードなら研究素材にもなるしそれなりで引き取って貰えるだろうから」 『なんだよぅ、久しぶりに喋れるようになったからちょっと羽目を外しただけじゃねえかよう!』 「……わたしは黙れって言ってるのよ」 『すみません。以後自重します』 デルフリンガーはまるで怯えるようにカタカタと剣身を揺らして恭しく答えた。 黙り込んだデルフリンガーを見てルイズは鼻を鳴らし、肩を怒らせたまま歩き出した。 十分に距離を取ったのを見計らって、デルフリンガーが柊に小さく囁いた。 『あの娘っ子こえー。マジこえー……』 「あんま怒らせんじゃねえよ……一応世話になってんだからよ……」 『俺は相棒に使われるけど、相棒は娘っ子に使われてんのな。ゲボク同士仲良くやろうぜ』 「ゲボクじゃねえ!?」 「ヒイラギ、何やっての! 行くわよ!」 怒気を孕んだルイズの叫び声が響き、柊は慌ててデルフリンガーを月衣に納めると歩き出した。 と、不意に足を止めて振り向く。 お世辞にも衛生的とはいえない路地裏の通りには柊達以外には誰もいない。 ――少なくとも見える範囲には、人はいなかった。 「……まあいいか」 柊はそう呟くと、既に表通りの方へと消えたルイズを追って走り出した。 前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い
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城歴史 特異体質 魔法を使える 変わりに筋力など運動に欠かせない才が全くといっていいほど伸びない いろんな魔法がある 剣士などでも扱える魔導具なども存在する
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前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い 目を覚ました柊が最初に見た光景は、石造りの天井だった。 「……知らねえ天井だ」 どこかのアニメだか漫画だかで出てきた台詞を呟いてみた後、柊はゆっくりと身を起こした。 ロングビルに用意してもらった使用人の部屋は、その前に訪れていたルイズの部屋と比べれば半分ほどの大きさしかなかった。 とはいえ別段部屋として手狭な訳ではなく(むしろルイズの部屋が無駄に広い)、まして一夜だけの寝場所としては十分すぎる。 向かいにベッドがあるのでどうやら相部屋のようだった。 柊はなんとなく頭をかきながら朝日の差し込んでいる窓に目を向けた。 まだ完全には日が昇りきっていないのだろう、少々薄暗い色彩の向こうに牧歌的な広場が見えた。 「異世界なんだよなぁ……」 つい先日まで緑とほぼ縁のない秋葉原にいた事を思い返し、柊は嘆息交じりに呟いた。 今回の召喚で一番困った事といえば、やはり『召喚された事』につきるだろう。 これまでの異世界召喚にはそれなりにその世界にいる目的があった。 だが、今回は何の意味もなく(ルイズ達にはあるのだろうが)召喚された挙句、元の世界に帰る方法が現状ないらしいというのだ。 異世界に召喚された後でやる事が、元の世界に帰る事。何かの罰ゲームだろうか。 いっその事開き直ってここに住み着いてやろうか、とも考えないではない。 が、そんなことになったら幼馴染の赤羽くれはに何を言われるかわかったものではない。 『あっそ、ふーん。あんたはどうでもいいけどエリスちゃんだけはちゃんとこっちに返しなよ?』 とでも言うだろうか。 「……わかってるよ、うるせえな」 リアルに想像できた台詞に柊は忌々しく呟くと、ベッドから降りて伸びをする。 それでさっきの考えは完全に消し飛んだ。 エリスをちゃんと元の世界に戻すというのもあるし、なによりくれはにそんな風に言われるのがとにかく気に入らない。 何が何でも元の世界に戻らなくてはならない。 「……うし」 軽く柔軟をした後、気合を入れる。 ドアが軽くノックされたのはその時だった。 「食事をお持ちしました」 「あ、すんません!」 ドアの向こうから聞こえた女性の声に柊は反射的に叫んだ。 取りに行こうと歩きかけて、寝るときに邪魔なのでズボンを脱いでいた事を思い出す。 慌ててズボンを履いた後ドアを開けると、そこにいたのは給仕服に身を包んだメイドだった。 彼女は食事の乗ったトレイを持ったまま、短い黒髪を揺らして静かに頭を垂れる。 「朝早くに申し訳ありません。学院の皆様への朝食の準備がありますので今しか時間が……」 「あ、いや、いっすよ。用意してくれるだけでありがたいんで」 折り目正しいメイドの態度に柊はかしこまって返してしまう。 すると彼女はどこか安心したようにほうと息をつくと、顔を上げて―― 「ありがとうご……っ!?」 柊を見た瞬間、固まってしまった。 「……?」 突然硬直してしまったメイドに柊は小さく首を傾げた。 ズボンはちゃんと履いている。シャツは昨日のままだが別に汚れてはいない。 髪も寝癖は……少しあったが、そこまで驚かれるほどのものではなかった。 なのに目の前のメイドは、何か信じられないモノを見るような表情で柊を凝視している。 「えっと……俺がどうかした?」 訳がわからないままおずおずと声をかけると、メイドは飛び上がるように身体を跳ねさせて一歩後ずさった。 ますます訳がわからない……というか、明らかに不審だ。 「――し、」 メイドが呻くように漏らした。 彼女は更に一歩後ずさると、 「失礼しますっ!!」 「え、ちょっ!?」 脱兎のごとく逃げ出してしまった。 柊は慌てて廊下まで追いかけるが、メイドは振り返る事もせずに一目散に廊下の向こうに走り去っていく。 ちなみに彼女が持っていたトレイにはスープが入っていたが、一滴も零すことなく全力疾走で消えていった。 匠の業だった。 「な……なんなんだよ……」 廊下に取り残された柊はぽかんとしたまま呟いた。 昨日の今日なので当然彼女と会った事はない。 いつぞやの時のように、誰かに似ているという訳でもなかった(そこまで観察する余裕もなかったが)。 いきなり驚かれて、いきなり逃げられた。 柊がそんな風に立ち尽くしていると、メイドが走り去った廊下の向こうから別のメイドがトレイを持って歩いてきた。 金髪のメイドは彼の元まで辿り着くと、しずしずと頭を垂れて口を開く。 「失礼しました。先程の者は気分が優れないそうで……」 「はあ……」 柊がぼんやりと返すと彼女は顔を上げて、どこか心配そうに柊に尋ねる。 「……。あの、彼女が何か粗相を?」 (俺が聞きてえよ……) 台詞のワリには明らかに不審そうな視線を向けてくるメイドに、柊は釈然としない気分になって彼女からトレイを受け取るのだった。 ※ ※ ※ 食事を終えて少々時間を持て余した後、柊はメイド(朝に会った二人とはまた別の少女だった)に連れられてルイズが授業を受ける教室に向かった。 石造という違いはあるが大学の講義室とほぼ同じ構造のその教室は、柊が入ってきた入り口からほぼ総ての席の様子が見て取れた。 なので柊はさほど苦労する事もなく特徴的なピンクブロンドのルイズと隣にちょこんと座っているエリスを発見し、そちらに歩いていく。 入り口から全容を見れる、という事は逆もまたしかりであり、教室に入ってから柊は周りの生徒からの好奇の目線をほぼ独り占めしていた。 この類の視線はかつて一年や二年のクラスに編入し、更には三年のクラスに出戻った――しかも総て同じ学校の、だ――という嬉しくない経緯を持つ柊にとっては今更どうというものではない。 強いて不快を感じるというなら、それが純粋な好奇だけではなく多分に嘲笑を含んだモノだということだ。 「おはようございます……」 「お、おう……?」 ルイズ達の元に辿り着いたとき、エリスがどことなく疲れたような声をかけてきたので柊は僅かに眉をひそめた。 見ればルイズの方も、顔を俯けて沈黙したままである。 「どうした?」 「……なんでもない」 「……なんでもないです」 尋ねて見ても、二人は異口同音に――表情すらも同様にして返すばかり。 そこで柊は昨夜ロングビルに言われた事を思い出した。 『――無理やりにでも貴方達……あるいはいずれかを契約させる』 昨日は魔法を乱発しながら自分を追いかけて疲労困憊だったようだし、そこまでやるような人間でもないと思ったのでとりあえず放置していたのだが、甘かったのかもしれない。 「エリス、こいつに何かされたのか?」 表情を引き締めて柊はエリスに尋ねた。 すると、 「ナニもされてません!?」 「ナニもしてないわよ!?」 唐突に二人が立ち上がり叫んだ。 「す、すいません……」 二人の形相に気圧されて柊が呻くように謝ると、彼女たちは再び席についてはあと吐息をもらした。 朝から訳のわからない事ばかりだった。 深く気にする事をやめて柊はルイズの隣の席に座りこむ。 その時にルイズがちらりと柊を睨んだが、特に何も口にすることはなかった。 そして柊は懐から0-Phoneを取り出した後、それを操作しながらエリスに呼びかける。 「エリス、0-Phone持ってるか?」 「え? あ……はい、持ってます!」 エリスははっとしてポケットから自分の0-Phoneを取り出した。 二人に挟まれた形になるルイズは交互に視線をさまよわせながら、柊達が取り出した物を興味深げに眺める。 「エリス、何なのそれ」 「えと、0-Phoneって言って携帯電話みたいなものです」 「ケイタイデンワ?」 「……えぇと、私達の世界の道具なんです。離れた人と話ができるって――」 「今からそっちにかけっから。設定バイブにしといてくれ」 「あ、はい」 ルイズが興味津々といった様子で見つめる中、エリスは0-Phoneを操作して設定を変える。 そして少しの間のあと、彼女の手にした0-Phoneが震え始めた。 「!?」 「あ……繋がりました!」 エリスが喜色を称えて通話キーを押すと、0-Phoneから軽く柊の声が響いてきた。 「……同じ世界ならどうにか繋がるか。連絡手段としちゃ上等だな」 左右から聞こえて来る柊の声にルイズはしきりに首を振り不思議そうに柊とエリスの0-Phoneを見やった後、たまりかねたように声を上げた。 「何なのよこの変な箱は? マジックアイテムなの?」 「え、あ、多分そんな感じのものでいいと思います……」 一応ファー・ジ・アースの魔法技術が備わっているのでマジックアイテムという呼び方は間違ってはいないだろう。 ルイズはひったくるようにエリスの持っていた0-Phoneを取り上げると、興味深げにあれこれとキーを押し始めた。 「へえ、こんなものがあるのね……」 「この世界にはありません、よね?」 「わかんないわ。ハルケギニアにあるマジックアイテムを全部知ってる訳じゃないし……わ、何これ。すごい」 子供のように0-Phoneを弄くるルイズにエリスは微笑んでから操作方法を教え始め、そしてふと柊に目を向けた。 「あの、もしかしてこれを使えば元の世界に……アンゼロットさんに連絡が取れるんじゃ?」 「いや、昨日試したがダメだった。まあココは『外世界』だろうから、世界内で繋がるだけで御の字だろ」 「外世界?」 聞きなれない単語に首を捻ったエリスに、柊は一つ頷いてから話し始めた。 ――無数に存在する異世界群は大きく分けて『並行世界』と『外世界』に分類される。 柊達のいる世界であるファー・ジ・アースから見て『並行世界』とは基本的にラース=フェリアやエル=ネイシアといったいわゆる『主八界』の事を指す。 ファー・ジ・アースに限っていうのならばこの他に『狭界』と呼ばれる並行世界も存在するが、ここではおいておく。 要するにこの主八界はとある超越存在の意思の下、統一された宇宙観によって形成されたヒトの住む世界群なのである。 対してミッドガルドやこのハルケギニアのように、その宇宙観『以外』の概念によって作られた世界を『外世界』と呼ぶ。 これらの外世界はそもそも世界の成り立ちからして完全に異なっており、文化や理念、魔法などの技術の概念、更には時間の流れや連続性ですらも同じであるとは限らない。 文字通りの意味でファー・ジ・アースとは『異なる』世界なのだ。 「へえ……柊先輩って物知りなんですね」 ざっとではあるが柊がそんな説明をした後、エリスは多分に尊敬を込めた目線を彼に投げやった。 彼女の視線を受けて柊は僅かに顔を俯け、照れ臭そうに頭をかく。 「……まあ、何度も異世界に召喚されてっから、今後のためにアンゼロットに聞いてたんだよ。役に立つとは思わなかったけどな」 「ふふっ」 柊が言うとエリスは可笑しそうに微笑を漏らす。 それまで0-Phoneを熱心に弄くっていたルイズに呼ばれてエリスがそちらに気を向けると、それを確認した柊は小さく息を吐いた。 僅かに目を逸らし、窓から映る空をなんとはなしに見つける。 どの世界でも、空は同じ青い色だった。 無論、柊が異世界に関する知識をアンゼロットから教わったのはそんな理由ではない。 かつて彼が関わった外世界、ミッドガルド。 その世界にまつわる一件のきっかけともなった侵魔との闘いの際に、柊は肩を並べて戦った一人の仲間を失ったのだ。 『彼女』は実に二万年もの時を隔てた過去のミッドガルドへと飛ばされ、そして終ぞファー・ジ・アースへと戻る事なくその生涯を終えた。 その事実が事態を解決する要因の一つになった訳なのだが、それでもどうにかできないか、と彼はアンゼロットに頼み込んだのだ。 結果として、それは叶わなかった。 彼女を救う事はできなかったけれど、その後の彼女の生涯が"救われなかった"ものではない、というのが唯一の慰めではあった。 だが、それでも。 彼女は柊と同い年――クラスメイトだったのだ。 他人の人生をどうこう言える権利などありはしないが、やはり彼女にも生まれた世界で生きる人生があったのではないか、と思う。 「ベール=ゼファー」 というエリスの声で現実に引き戻されて、柊は二人を振り返った。 見ればルイズは0-Phoneに収められているデータから魔王の項目を見ているらしい。 その隣でエリスがデータの詳細をルイズに向かって口頭で説明していた。 「この人には会った事があります。凄く強くて怖い人でした」 「ただの女の子じゃないの。胡散臭いわね……こっちのは?」 「えと……モッガディード? 半年前から消息不明……らしいです」 「……」 二人の会話を聞きながら柊は僅かに眉をひそめ、机の上にあった教科書を手にとって開いてみる。 そこに記されている文字は、柊の見たこともないモノだった。 「……文字が違う?」 「あ、そうみたいです。話す分には全然問題ないんですけど」 「口語の翻訳はできてんのか。ゲートの効果か? 0-Phoneで対応は……してないよな……」 0-Phoneの翻訳データを確認しながら柊は憮然とため息をついた。 主八界の中でならいかなる言語であろうと0-Phoneの翻訳ソフトで解析できるのだが、外世界のハルケギニアは当然未対応だ。 そうなると情報収集のためには独学で言語を学んでいくしかない。 会話は問題なくできるとはいえ、いきなり暗雲が立ち込めてきてしまった。 そんな柊の心境をルイズが知るよしもなく、彼女は熱心に様々なデータを閲覧しエリスに解説を求めていた。 なんとなくルイズの気楽さが面白くなかったので、柊はふと思いついて彼女に声をかけた。 「なあ、ルイズ」 「なに?」 ルイズは柊に顔を向ける事なくせわしなくキーを押して0-Phoneを操作している。 ついさっき初めて見たものだろうにその動きは既に慣れたもので、学習能力は相当に高い事がうかがえた。 それはともかく。 「そこのキーなんだけどな。それを押すと……」 「これがなに?」 やはりルイズはディスプレイに見入ったまま柊に返した。 そして柊は彼女がキーを押したのを見計らうと、唐突に重苦しい声で言った。 「――爆発する」 「!?」 ルイズの動きがぴたっと固まった。 鈍い動きで顔だけ柊を向くと、彼女は上ずった声で柊に問いかける。 「え。ばくはつって……うそ」 「本当だ。色々情報が入ってたろ? 機密保持のために自爆するようになってんだよ」 努めて真剣さを装って柊が言うと、少しの沈黙の後ルイズは目に見えて動揺しだした。 「え、そんな、ど、どうすればいい? どうすればいいの?」 ねえエリス、と助けを求めるようにルイズが振り返ると、当のエリスは困ったような苦笑を浮かべているだけだった。 「もう……先輩?」 「いやあ、やっぱファンタジー世界の人間のリアクションはこうじゃないとな!」 エリスとルイズの視線を受けて、柊は満面の笑みを浮かべていた。 何しろ彼の知るファンタジー世界――ラース=フェリアの住人はファー・ジ・アースの文化に即座に適応していたのだ。 具体的に言うと、初見で完璧に公衆電話を使いこなしたり、食券を利用して立ち食いソバを堪能したり、某黄色い潜水艦でTRPGをやるぐらいに。 やはり柊としては『車を見て「うひゃあ、鉄のイノシシだあ!」と驚く』ぐらいのリアクションを期待したいのである。 なので今のルイズの反応は、大変満足だった。 「だ、騙した!? 騙したわね!?」 ようやく事態を悟ったルイズが怒りの声をあげ、柊に掴みかかる。 だが柊は嬉しそうな表情でされるがままだ。 「そんな怒るなって。異文化交流って奴だよ」 「ふざけんじゃないわよ! へ、平民の癖に貴族を騙すなんてとんでもない不敬だわ! 手打ちにされたって文句は――」 「ミス・ヴァリエール!!」 「!?」 不意に響いた声にルイズは反射的に立ち上がった。 見れば教壇に中年の女性が立っており、ルイズを見やっている。あれこれとやっている内に授業が始まる時間が来てしまっていたようだ。 「授業を始めますが、よろしいですか?」 「……申し訳ありません、ミセス・シュヴルーズ」 一度だけ柊をぎらりと睨みつけた後、ルイズは憤懣を胸の奥に収めて頭を下げた。 ルイズは一年の頃彼女から授業を受けたことはないが、学院の教師の名は概ね諳んじている。 ルイズの返事を満足そうに頷いて返すと、シュヴルーズは僅かに微笑を称えて口を開いた。 「いえ、使い魔との交流はちゃんとできているようで安心しました。ただ、これから授業なのですからそちらの方に集中なさるよう」 「……っ」 ルイズの眉がぴくりと動き、そして彼女は唇を噛んだ。 教室の中にどっと笑いが巻き起こるのは同時だった。 「ゼロのルイズ! 召喚できなかったからって平民を連れてくるなよ!」 はやし立てる様に生徒の一人が声を上げると、笑いのトーンが一段と高まる。 酷く耳に障る雑音をかき消そうとするように、ルイズは叫んだ。 「違うわ! ちゃんと『サモン・サーヴァント』は成功したもの! こいつらが勝手に来ただけよ!」 「落ち着きなさい、ミス・ヴァリエール」 「でも……!」 「貴女がちゃんと召喚に成功した事はミスタ・コルベールから伺っています。前例は……まあ、ありませんが、その二人は立派な貴女の使い魔ですよ」 シュヴルーズとしてはルイズと生徒達を宥めるために言ったのだろうが、場は全く収まらなかった。 むしろ爆笑から失笑に似たものへと変わり、やおら一人の生徒が立ち上がって手を挙げた。 「ミセス・シュヴルーズ! それは違います!」 「……は?」 シュヴルーズが怪訝そうに声を漏らすと、その生徒は小太りした身体を誇示するように胸を張って、愉悦交じりにルイズを見やる。 「彼女は『コントラクト・サーヴァント』をしていません。だから、その二人は『使い魔』じゃないんです」 「それは……まあ、確かに」 シュヴルーズが口ごもると同時に更なる笑いが巻き起こった。 小太りの生徒はそれで更に気を良くしたのか、煽るようにして両手を広げルイズに言う。 「他所から連れてきた平民じゃ契約なんてできる訳ないもんな!」 「ちゃんと召喚したって言ってるじゃない! 契約しないのはこいつらが――」 「だったらなお悪いよ! 召喚された使い魔に拒絶されるなんてありえないだろ!?」 「そっ……!」 ルイズは何事かを言いかけ、それを言葉にする事ができなかった。 侮辱された怒りが渦巻いているのと同時に、一方で彼の言う事が事実だと認識している自分がいる。 『サモン・サーヴァント』ではメイジにふさわしい使い魔が召喚されるはずなのに、他でもないその使い魔から拒絶されたのだ。 一心同体である使い魔にすらふさわしいと思われないメイジ。 それこそまさに―― 「魔法が使えない上に使い魔にまで拒否されるなんて、さすがゼロのルイズだ!」 「……っ」 悔しさがこみあげて口を開く事ができない。口を開けば、どんな言葉を吐き出すか自分にも分からなかった。 だから彼女は、胸の中で渦巻く感情が零れないようにただ耐えることしかできない。 僅かに顔を俯ける。 滲んだ視界の隅を、何かが横切った。 嘲笑の渦中に晒されているエリスは、正直ここから逃げ出したかった。 その中心にいるルイズはぎゅっと拳を握り締め、肩を震わせてじっと堪えている。食いしばった唇からは、僅かに血の色が滲んでいた。 他力本願だと理解してはいたが、エリスは助けを求めるように視線をさまよわせた。 昨日(誤解の産物とはいえ)二人の間を取り持ってくれたキュルケはつまらなそうに肩肘をつき欠伸をしていた。 この騒動に参加する気はなさそうだが、止めようという気配はまったくない。 その近くにいた青髪の少女に至っては、完全に我関せずを決め込んで手元の本に目を落としている。 そしてエリスは最後に柊に視線をやって……息を呑んだ。 僅かに目を細めて沈黙を保っている彼は、今まで彼女が見た事がない顔をしていた。 顔に感情を乗せないまま、けれどありありと感情を滲ませながら柊の手が動いた。 エリスはそれを止めることができなかった。 「あンっ!?」 投げつけられた教科書が顔面に直撃し、小太りの生徒は悲鳴を上げてもんどりうって倒れこむ。 同時に教室が水を打ったように静まりかえった。 生徒達は時間が止まったように表情を固まらせ、キュルケは驚きに目を見開き、青髪の少女は本から僅かに目を上げた。 急に沈黙が訪れた教室にようやく我を取り戻したルイズが、ゆっくりと顔を巡らせる。 生徒に教科書を投げつけた犯人――柊は椅子に背を預けたまま、酷く冷たい目線を生徒に送ったまま口を開いた。 「……わりぃ。手が滑った」 謝意など微塵も感じさせない柊の言葉に、誰一人として返す者はいない。 しばしの沈黙の後、小太りの生徒が顔を抑えながらよろよろと立ち上がった。 わずかな怯えと多大な怒気を孕ませて、彼は偉そうに席にふんぞり返っている柊に口角を飛ばした。 「お、お前……そこの平民! なんて魅惑的な一撃を――違う、僕を誰だと思ってる!?」 「知らねえよ。会った事もないしな」 ぶっきらぼうに言い放った柊に、生徒は床を蹴り懐から杖を取り出して見せ付けるように突きつけた。 「僕は『風上の』マリコルヌ! 貴族だぞっ!? 平民が貴族に手をあげるなんて――!」 「……あいにく、貴族だの平民だの関係ないトコから来たんでな」 言って柊はゆっくりと席から立ち上がる。 同時にマリコルヌの体がびくっと震え、そして生徒達がざわめいた。 険悪な雰囲気が漂い始める中、柊は――マリコルヌの方には行かず、教壇で凍り付いているシュヴルーズの下に歩き出した。 「な、なんですか! 一体何を――!」 歩み寄ってきた柊にシュヴルーズは狼狽して後ずさる。 そして柊はシュヴルーズに、 「授業の邪魔してすいませんでした」 頭を下げた。 ぽかんとしたままのシュヴルーズの返答を待たず、柊は踵を返して教室を後にする。 「柊先輩!」 慌ててエリスは立ち上がり、柊の後を追った。 教室を出る間際彼女は振り返り、シュヴルーズとルイズに目線をやる。 半瞬迷った後エリスは深々と頭を下げ、そして教室から姿を消した。 二人の人間が姿を消し、教室に残ったのはただ沈黙だけ。 「なっ……何なんだよ! 謝る相手が違うだろ!?」 マリコルヌが思い出したように悲鳴を上げた。 しかしその怒りをぶつける相手は既に教室には居らず、彼は代わりに席で立ち尽くしたままのルイズを睨みつけた。 「おい、ゼロのルイズ! 自分の使い魔の躾もできないのか!?」 ルイズはマリコルヌの言葉にわずかに身体を揺らしたが、答える事はできなかった。 代わりにいくらか落ち着きを取り戻したシュヴルーズの声が響く。 「まあまあ、落ち着きなさいミスタ・グランドプレ」 「しかしですね、ミセス――」 「彼等がミス・ヴァリエールの使い魔でないと言ったのは貴方ですよ? ならば彼女に躾の義務などないのではありませんか?」 「いや、それは……っ」 「席に座りなさい、二人とも。授業を始めましょう」 いくらか厳しさを増したシュヴルーズの声にマリコルヌは渋々と、そしてルイズは呆然としたまま着席した。 そんなルイズの様子を見て、シュヴルーズは小さくため息をつき 「まあ、彼は今はまだ使い魔ではありませんが……平民でありながらミス・ヴァリエールのために貴族に手を上げた点に関しては使い魔の素養は十分でしょう」 時と場合を選んで欲しいですけどね、と苦笑を漏らした。 ルイズはその言葉でようやく顔を上げた。 どうやらそれは締めの言葉だったようで、シュヴルーズは頭を切り替えて何事もなかったように自己紹介を始めていた。 シュヴルーズは謙遜しているのか自慢しているのか定かではない『土』系統の講釈を垂れ流しているが、ルイズの耳には全く入っていない。 (あいつが……私のために?) ルイズは頭を振ってそれを否定する。 柊から敬意を受けた事など一度だってない。 それどころか、ついさっき貴族である彼女を騙して楽しんでいた。 何より、最初の段階で契約を拒絶したのは他ならぬ柊なのだ。 百歩譲って平民である事は仕方ないにしても、契約ができなかった原因は間違いなくあの男ではないか。 「そうよ。全部あいつのせいなんだから……」 半ば言い聞かせるようにして彼女は小さく呟く。 だが、どんなにそれを繰り返しても胸の裡に沸いたよく分からない感情は消えなかった。 ※ ※ ※ 「どこの世界でもいじめっつーのはあるもんだな……」 教室を辞して、案内された道順を逆に辿って棟の外まで歩いていった柊は嘆息しながら呟いた。 かつて彼の在籍していた輝明学園はいささか自由に過ぎた校風があり、そういった陰湿な類のものは半ば縁のないようなものだった。 なので実際そういうモノを目の当たりにした時反射的に行動してしまったが、思い返せばいかにも軽率といえた。 アレで誰が困るかといえば、それは柊自身ではなく残されたルイズだろう。 「後で謝っといた方がいいよな、やっぱり」 言いながら柊はその場に座り込む。 と、そこに背後から駆けてくる足音があった。 「先輩……」 「なんだ、エリス。お前も出てきちまったのか? ますますルイズの立つ瀬がねえな」 振り向いてエリスの姿を確認すると、柊は苦笑を漏らしながら言った。 エリスは柊の隣に座り込み、顔を俯けたまま黙り込んでしまった。 少しの沈黙の後で彼女はおずおずと口を開いた。 「ルイズさん……可哀想でしたね」 「……『ゼロのルイズ』なあ……」 ゼロのルイズ。 マリコルヌとか言う生徒の台詞や回りの反応から察するに、要するに落ち零れだとかそういう意味なのだろう。 学院に帰る時に他の生徒達が空を飛んで帰還していたが、彼女は歩いて戻っていた。 柊達に気を使っていたとか魔力(?)がなくなっていたとかではなく、『使えなかった』のかもしれない。 それと、召喚時に柊を追い回しながら滅茶苦茶に周囲を爆発させていた魔法。 あの時アレは『そういう魔法』だと思っていたが、マリコルヌとか言う生徒が「魔法が使えない」と言っていたあたりからすると『魔法の成り損ない』なのだろうか。 ただ、一つだけ柊には気になる事があった。ある意味ではこちらの方がより重大でもある。 「……『サモン・サーヴァント』」 「……先輩?」 「あれはちゃんと成功したって言ってたよな」 「そう言ってましたけど……」 エリスが首をかしげながら答えると、柊は顎に手を添えて黙考し、そして誰に言うでもなく喋り始める。 ――柊 蓮司と志宝エリスはルイズの『サモン・サーヴァント』により召喚された。 異世界の存在を知らないハルケギニアの人間にはわからないだろうが、本来世界の壁を突破してゲートを繋げる行為はとてつもないものなのだ。 ファー・ジ・アースではそれこそ世界の守護者が率いる『ロンギヌス』並の組織力が必要だし、同じ外世界で言うならミッドガルドは送還の儀式に複数人数で七日間の準備期間を要した。 単独で異世界へのゲートを創る事を可能としたのは、柊の知る限り裏界でも一・二を争う力を持つ大魔王ベール=ゼファーと、その彼女の力を与えられた異界の守護騎士のみ。 つまりルイズのやった事は、いわゆる『魔王級』――それもかなり上位の存在が行使する力に近い事なのだ。 「じゃあルイズさんって実は凄い力を持ってるとか……」 「まあ俺等の基準でこの世界の力を判断していいのかわかんねえけど」 お手上げ、と言った風に柊が肩を竦めて見せると、隣で座っていたエリスはわずかに顔を傾けた。 「……ルイズさんには言ってあげないんですか?」 ぽつりと漏らすように彼女が言うと、柊は途端に難しい表情をしてしまった。 「あくまで俺等の基準で言えば、って話だし、言ったってどうせ信じないだろ。あいつ、俺達が異世界の人間ってこと、絶対信じてねえ」 「……ですよね」 嘆息交じりにエリスは返し、頭を垂れた。 目の前で月衣を見せられて、そして0-Phoneとその内蔵データを見てもルイズは未だに話半分でしか捉えていないのだ。 こうなると彼女の満足する『証拠』はそれこそ実際にファー・ジ・アースに連れて行くぐらいしかない。 だがそんな事ができるのなら彼女が信じようと信じまいと関係がなくなってしまう。 なぜならその時点で帰る方法が見つかっているのだから。 「……っ?」 そんな時、ふと眩暈を感じてエリスは頭を抑えた。 頭の芯にノイズが入ったような気がして、僅かに表情を歪める。 「どうした、エリス?」 エリスの様子に気づいて柊は彼女を覗き込む――と同時に。 地面が揺れるような衝撃と、爆音が響いた。 「!?」 二人は同時にそちらを向いた。 遠くで何か喧騒のような声が聞こえる。方向から行くと、確かルイズ達のいた教室のほうだ。 「なんだぁ……!?」 事態を確かめようと立ち上がった後、柊はエリスを思い出して顔を向けた。 どうやら眩暈(?)は収まっているようで、彼女も立ち上がって柊を見た後小さく頷いた。 二人は歩いてきた道を辿って教室まで駆けつけると、その中を見て思わず息を呑んでしまった。 整然としていた教室内は無残に荒れ果て、窓ガラスは片っ端から割れており、生徒達の使い魔が狂騒していた。 座席の下段の方は跡形もなく崩壊していた。中上段から避難していたらしい生徒達がおそるおそる頭を出していた。 ふと目をやれば、壁にもたれかかる格好でシュヴルーズが気絶している。 そんな大惨事の中で、何故か教壇に立ち尽くしているピンクブロンドの少女が一人。 彼女は所々破れた衣服を気にする風でもなく、乱れた髪をいっそ優雅と思えるほどに軽くかきあげて、言った。 「……ちょっと失敗したみたいね」 教室中から怒号が響き渡った。 前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い
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ゲルト「水だ!水を持ってこい!」 俺「そうか!」 俺「水よ!」 ジャバ シュゥゥゥ 俺「消えた!俺のお手柄だね!」 ゲルト「貴様!」 ゲルト「私達のズボンをこんなにしおって!」 ゲルト「何が手柄だ!元はと言えばお前が火をつけたんだろう!」 俺「ひぃ!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー ミーナ「あなた何でもできるんじゃなかったの?」 ミーナ「失敗しかしていないじゃない」 俺「ごめんなさい…」 ミーナ「私のズボンこんなにしてくれちゃってまったく…」 ミーナ「もうここにはもう置いて置けないわ」 俺「そんなぁ」 ウーーー 俺「うわ、びっくりした!なんだ?」 坂本「ミーナネウロイだ!」 ミーナ「ええ!今行くわ!」 俺「汚名挽回のチャンス来た!」 ミーナ「これ以上汚名を増やしてもらうのは困るんだけど…」 俺「早く行こう!」 ミーナ「あ!ちょっと!」 ミーナ「……」 ミーナ「不安だわ…」 949 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/10/26(火) 12 22 37.61 ID R2qcJnk3O たしかに汚名は返上するものだなw 950 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/10/26(火) 12 25 06.54 ID BulBQC5gO 坂本「お前も出るのか」 俺「汚名を挽回しに行くんだ!」 坂本「そ、そうか…ほどほどにな…」 ミーナ「ストライクウィッチーズ発進!」 『了解!』 俺「おお!格好いい!」 俺「じゃあ俺も!」 俺「風よ!」 ブワッ エイラ「ナンでストライカー無しで浮けるんダ?」 俺「俺、いきまーす!」 ヒューン ゲルト「あれか!」 坂本「コアはあの」 俺「俺頑張っちゃうよー!」 ヒューン 坂本「おいまて!勝手な行動は」 俺「土の精霊よ!俺に力を!」 身体能力UP!↑ティウン♪ 俺「チェストー!」 ドガーン ペリーヌ「素手でネウロイの装甲を砕きましたわ!」 坂本「信じられん…」 俺「風と水の合体魔法!」 俺「ストーム!」 ギュルルルルル ペリーヌ「今度は海から竜巻が!」 エイラ「ネウロイを飲みこんだゾ!」 パリィン 俺「倒したよー!」 ヒューン 俺「どうどう?俺凄い?」 俺「汚名挽回できた?」 坂本「ああ、できたぞ」 坂本「単独行動、命令無視」 坂本「ネウロイも倒したのにな」 坂本「汚名挽回のついでに名誉返上も出来てよかったな」 ミーナ「帰ったら私の部屋に来なさい。ご褒美をあげるわ」 俺「おお!やったー!」 ―ミーナの部屋― 俺「ご褒美は!?」 俺「食べ物か!」 俺「まさかキス!?」 俺「お、俺心の準備が///」 ミーナ「いいえ。もっと良いものよ」 俺「もっといいもの!?///」 ミーナ「そうよ。欲しいでしょぉ?」 俺「は、はは、はい!///」 ミーナ「あら、そんなに欲しがってくれるなんてよかったわ」 ドサッ 俺「なに?この紙の山」 ミーナ「ご褒美よ?」 ミーナ「これ全部に反省文を書いてもらいます」 俺「え、やだ」 俺「キスがいい」 俺「俺頑張ったじゃん」 ミーナ「あなた何をしたかまだわかってないの!」 ミーナ「あなたは何もいいことしてないの!」 俺「ネウロイ倒した」 ミーナ「ええそうね。でも命令違反をしたでしょう?」 ミーナ「プラマイゼロよ」 ミーナ「その残念な頭でも意味分かるかしら?」 ミーナ「本当なら追い出すところだけどあなたの強さに免じて反省文だけにしてあげたのよ?」 俺「えー無理無理、こんなに書けない」 俺「それに何を書いたらいいんだ?」 俺「それに俺軍人じゃないよ」 ミーナ「書くの?書かないの?」 ミーナ「書かないのならここに置いとけないわね」 俺「究極の2択じゃねーか」 俺「う~ん…」 俺「そうだ!取り引きをしよう!」 俺「俺若返りの魔法薬が作れるだ!」 ミーナ(若返り!?) 俺「それ上げるから反省文書かなくていい?」 ミーナ「規律が…いや若返り…規律…若返り…」 俺「綺麗になる薬もおまけするからさ!」 ミーナ「のったわ!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー 坂本「厳重注意だけですむなんてな」 ゲルト「しかしあの強さだ…」 ゲルト「戦力になると考えたんだろう」 エーリカ「で、俺はどこにいるの?」 坂本「部屋に閉じ籠ったきりでてこない」 ゲルト「それなりに反省しているのだろう」 エーリカ「ちょっと見に行って見ようよ」 ―俺の部屋― 俺「結構得意なんだよね薬の調合」 ぐつぐつ ぐつぐつ 俺「ついでに惚れ薬も作ってみよっと」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー エーリカ「俺ー入るよー」 ガチャ 俺「今はだめー!」 ググッ エーリカ「いいじゃんいれてよー」 ギリギリ ゲルト「変われハルトマン」 ドン 俺「うわっ」 ドンガラガッシャーン エーリカ「ちょっと大丈夫?!」 俺「いてて」 ゲルト「すまん…」 俺「ああー!薬がー!」 俺「みんな息止めてー」 俺「吸っちゃだめー!」 エーリカ「…なんだか身体があつく///」ハァハァ ゲルト「ボーッとして変な気持ちに…///」 俺「なんかやばい!全部混ざって変なことに!」 エーリカ「…ねえ俺…はぁはぁ///」 ゲルト「はぁ…はぁ///」 俺(どうしよう!) 俺「とりあえず逃げるか」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー エイラ「サーニャ///いいダロ///」 サーニャ「今日だけよエイラ///はぁ…はぁ…///」 俺「ここもだめか!次!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー 芳佳「うへへ…リーネちゃん///」 リーネ「あっ///芳佳ちゃん///」 俺「ここもか!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー ペリーヌ「少佐ぁ///」 坂本「ペリーヌ///」 俺「うわぁ…」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー ルッキ「シャーリー柔らか~い///」 シャーリー「あっ///」 俺「oh...」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー 俺「やっべえよ、なんか大変なことになっちゃったよ…」 俺「また怒られるよどうしよう…」 俺「なんの薬かさえわからないからなぁ」 俺「解毒薬作れないんだよなぁ…」 俺「はぁ~」 ミーナ「あら、こんな所にいたの」 俺「やばっ!見つかった!」 ミーナ「私の部屋に来なさい」 俺「は、はい…」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー ―ミーナの部屋― ミーナ「ねぇ…身体がウズウズするの…」 ミーナ「はぁ…はぁ…///」 ミーナ「ねぇ…いいでさしょ…///はぁはぁ///」 俺「ちょ!鬼ババア!抱きつくな!」 俺「ちょっとー!」 987 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/10/26(火) 15 50 13.65 ID rY7SiJ1e0 ほうほう 988 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/10/26(火) 15 52 11.98 ID BulBQC5gO ミーナ「そんなに怯えなくてもいいのよ~///」ハァハァ ミーナ「ほらぁ~すぐよくなるから」 ミーナ「ね?どぉお?」 俺「」 ミーナ「うふふ…可愛いわね」 ミーナ「もっと可愛いがってあ・げ・る」 俺「」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー 989 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/10/26(火) 15 53 23.54 ID L4AUUCYdO ほほう 990 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/10/26(火) 15 59 59.62 ID BulBQC5gO 師匠「まったくけしからんな」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー 俺「んん…っ?」 ゲルト「目が覚めたのか」 俺「あれ?みんないる」 俺「どおしたの?」 ミーナ「なんてことをしてくれたの」 俺「ええっ!?」 ミーナ「あなたにはここをでていってもらいます!」 俺「」 坂本「短い付き合いだったな」 俺「そんなぁ…」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーーーーーーーーーーーー 魔法使いの弟子3へ続く
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宝物追いの魔法使い/Wizard of Treasurechaser 宝物追いの魔法使い/Wizard of Treasurechaser(3)(U) クリーチャー - 人間・ウィザード 飛行 金属術―宝物追いの魔法使いは、あなたがアーティファクトを3つ以上コントロールしている限り+2/+2の修整を受ける。 2/2 参考 星蓮船-コモン
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プロモカード/魔法使いの夜 『魔法使いの夜』のプロモカード。 限定プロモカード ナンバー カード名 色 C S AP DP 入手方法 P-001 《蒼崎 青子》 青 4 1 40 30 サプライセット 魔法使いの夜付録 P-002 《蒼崎 青子》 3 2 40 30 魔法使いの夜BOX購入特典 P-003 《久遠寺 有珠》 緑 3 2 30 50 P-004 《蒼崎 青子》 青 2 2 30 30 発売記念大会上位賞 P-005 《久遠寺 有珠》 緑 0 2 - - 発売記念大会参加賞 P-006 《蒼崎 青子》 青 3 2 30 30 公式大会上位賞 P-007 《蒼崎 青子》 4 1 40 40 大会プロモーションパック vol.15 P-008 《久遠寺 有珠》 緑 4 1 30 50 プレメモ&プリコネフェスタ2013限定プロモパック P-009 《蒼崎 青子》 青 3 1 40 30 カスタムパックVol.3 P-010 《蒼崎 青子》 1 2 30 30 P-011 《蒼崎 青子》 0 1 - - P-012 《久遠寺 有珠》 緑 1 2 20 30 P-013 《久遠寺 有珠》 3 2 30 50 P-014 《久遠寺 有珠》 0 1 - - 関連項目 カードリスト プロモカード 魔法使いの夜 編集
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前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い 「おう、エリス。ただいま」 「あ、お帰りなさい……な、なんですかこれ?」 慌てて姿勢を正してお辞儀をしたあと、エリスは部屋の真ん中に置かれた衣装箱の山を見て眼を丸くした。 「服よ。買ってあげるって言ってた奴」 「え? あ、ありがとうざいます……えっ?」 至極当たり前と言った風に告げたルイズにエリスは反射的に礼を言い、そして眉を潜めた。 それはそうだろう、せいぜいがバッグ一抱えといった所が関の山な一般人のエリスでは、文字通りで山のような衣装箱など想定できるはずもない。 ……もっとも、その値段を聞いたら驚くどころか卒倒するかもしれないが。 「ところで、何かあったのか? 随分焦ってるみたいな感じだったけど」 「……あ! 先輩、これ……っ」 柊に言われて思い出したのか、エリスは慌てて持っていた紙――コルベールが描いた『破壊の杖』の絵を柊に差し出した。 それを手渡された柊は軽くそれを観察し、あっさりと答える。 「なんだ、箒じゃねえか。エリス、お前絵が上手いんだな」 「箒?」 ルイズが柊の手から紙を奪い取ってそれを見やり、首を傾げる。 「……これのどこが箒なの?」 「いや、掃除に使う箒じゃなくってな。ガンナーズブルームっつって……俺等の世界で使ってるマジック・アイテムみたいなもんだ」 「またその手の代物……?」 胡散臭げに眉をしかめるルイズを他所に、柊はエリスに目を向けて少し困ったように告げた。 「エリス、あんまこういうのを描くってのは――」 「ち、違います! それ、私が描いたんじゃないんです!」 「……は?」 そしてエリスは事情を二人に話し始めた。 勉強中にコルベールに会って追求から逃れられず、異世界のことを話してしまったこと。 宝物庫に納められているという『破壊の杖』のこと。 そしてコルベールが描いた『破壊の杖』の絵が、柊達の見ているものであること。 聞くに従って柊の表情が真剣になり、そして思案顔に変わっていく。 エリスが異世界に関して話してしまった点については、一度渋い顔をして見せたが特に咎めることはなかった。 何しろ柊自身、彼のような類の人間に追及されたら誤魔化しきれないのがわかっていたから逃げていたクチなのである。 むしろ目的であるファー・ジ・アースへの手がかりが降ってきたので瓢箪から独楽というべきかもしれない。 とはいえ、仮に『破壊の杖』が本当に箒――ガンナーズブルームだったとしてもそれ自体は重要ではなかった。 柊達がこのハルケギニアにいる以上、ゲートなり何なりでファー・ジ・アースと繋がる事は確かなのだ。 それ以前に人なり物なりが辿り着いていてもおかしな話ではない。 重要なのはそれが単体できたのか、それとも持ち主ごと来たのか。そして後者ならばその持ち主は今何処にいるのか……である。 「あの爺さんに話を聞いてみるか……」 「それなんですけど、コルベール先生やロングビル先生が学院長に話を通してくれてるそうです。戻ったら伝えて欲しいって」 「マジか! すげえな、何か道が開けてきたぞ……!」 「それじゃ私、先生達に言ってきますね」 「頼む。ありがとな、エリス」 柊が喜色を称えて言うと、エリスは嬉しそうに微笑んでからぺこりと頭を下げて部屋から出て行った。 膨らんできた期待感で平手を撃つ一方で、脇で話を聞いていたルイズの表情はどこか暗かった。 「……どうかしたのか?」 「……。なんでもない……」 怪訝そうに窺う柊に、ルイズは呟くように小さく答えた。 ※ ※ ※ 学院長室を訪れた柊達三人を待ち受けていたのは、部屋の主たる学院長――オールド・オスマンの仏頂面だった。 彼は柊達がロングビルに先導されて入室したのを見届けると、脇に立っているコルベールを一瞥して苦々しく口を開いた。 「研究熱心なのは構わんが、いささか口が軽くなるのが玉に瑕じゃのう」 「それは返す言葉もありませんが……しかし彼等が異境の地に迷い込んでいるのは事実なのです。帰る手助けをするのは人として当然でしょう」 「キミは『破壊の杖』やら異世界やらの話を聞きたいだけじゃろ?」 オスマンが言うとコルベールはうっと言葉を詰まらせ、愛想笑いをしながら視線を反らしてしまった。 改めてオスマンは柊達に視線を送ると、溜息混じりに口を開く。 「やはりと言うべきか何というか、君達も異世界とやらの人間だったんじゃのう」 「……知ってたのか?」 「グラモンの馬鹿息子との決闘であたりはつけておった。後の行動も大方『彼』と同じだったしの」 オスマンの声に柊の眉がわずかに揺れる。 柊は一歩前に進み出ると、コルベールが描いた『破壊の杖』の絵を示しながら言った。 「とりあえず、これが本当に俺達の世界のものか確認させてくれねえか」 「致し方あるまいな」 柊の言葉を受けてオスマンは立ち上がり、柊達を先導して宝物庫へと案内した。 錠を開け、扉を開いてから彼は振り返り柊とエリス、ルイズ、そして付いてきたコルベールとロングビルを順繰りに見やる。 「柊くんとエリスくん、それと……主人たるミス・ヴァリエールは聞いておくべきじゃろうな。残りはここで見張っておくよう」 「そんな殺生な!」 一緒に話を聞けると思っていたコルベールが悲鳴を上げるが、それには構わずオスマンは柊達を宝物庫へと招き入れて扉を閉めた。 念のために懐から杖を取り出して扉にロックをかける。 雑多に納められた数々のお宝を物珍しそうに眺める三人を促し、彼は数多の杖が飾られている一角へと案内した。 名前の彫られたプレートを見るまでもなく、目的のものはすぐに見つかった。 ソレは他のどんな杖よりも大きく、飾られている場所を占有していたからだ。 壁に立てかけられて固定されている『破壊の杖』を見てルイズは純粋に驚きを露にした。 エリスと柊も別種ではあったがやはり驚きを覚え、そして妙な懐かしさを感じてしまった。 なにしろ異世界で自分達の世界のモノを見ることになるとは思わなかったのだ。 「どうかね?」 後ろから届く確認の声に、柊は大きく頷いてから手を伸ばした。 「間違いねえ。これはファー・ジ・アースの箒――『ガンナーズブルーム』だ」 箒(ブルーム)と通称される、ウィザード達が世界を侵す侵魔に対抗するために作り上げた個人兵装。 緋室 灯が使用しているモノとは少々ディテールが異なるが、基本的な構造は間違いなく箒のそれだ。 少々古ぼけているので少し前の世代のものなのかもしれない。 柊が軽く表面をなぞると、埃の取れた地金に刻印が見えた。 擦り切れかけた黒塗りの斧のペイント、その刃をなぞるように刻まれた文字は[Kill em All !!]。 対侵魔組織の巨大派閥である『絶滅社』のロゴである。 「コレを使ってた奴はどうしたんだ? さっき学院長室で『彼』って言ってたよな」 オスマンを振り返って柊が尋ねると、彼は懐かしむように虚空を眺めながらそれに答える。 「そうさの、もう三十年ほど前になるか……ここから山を一つ越えた辺りの森に散策に出ておったら、ワイバーンに出くわしたんじゃ。 明らかに生息域からは離れておったが、運が悪かったんじゃろうの。 ……元より幻獣種と単身でやりあうなど分が悪すぎるが、ソイツはとにかく凶暴で手が負えんかった。 精神力も尽き果ててもうダメかと思った時――『彼』が武器も持たずにふらりと現れおった」 「……じゃあ、学院長はその方に助けられたんですか?」 エリスが呟いた言葉に、オスマンは何故か黙り込んでしまった。 首を捻る一同を他所に彼は僅かに顔を俯かせ、肩をわなわなと震わせながら、低い声で言った。 「……いや。殺されかけた」 「はあっ!?」 その男は虚空から『破壊の杖』を取り出すと、柊が決闘の際に放ったのと似たような光(おそらくプラーナだろう)を纏わせて杖を振るい、ワイバーンを木っ端微塵に吹き飛ばした。 そして彼はそれを喜ぶでもなく、呆気に取られるしかできないオスマンを振り返り――まるで人形のような顔つきで『破壊の杖』をオスマンに突きつけたのだ。 「ワイバーンを一撃で粉砕する超ド級の危険物を人様に向けてきおったのじゃぞ!? しかもフォートレスだのエミュレイターだの訳のわからんことを言いおってからに!! いたいけなジジイに対して何たる仕打ち! こいつはメチャ許せんよなぁ!!」 「落ち着け爺さん!?」 「落ち着いてください!?」 ガクガクと激しくヘッドバンギングしながら叫ぶオスマンに思わず突っ込みながらも、柊はなんとなく状況を理解した。 おそらくその彼はハルケギニアを侵魔の張った異空間――月匣(フォートレス)だと思ったのだろう。 既に異世界に関して知識と耐性があったヒイラギならばともかく、普通のウィザードならいきなりこんなファンタジー世界に放り出されればそれを想定するはずだ。 もしこれが緋室 灯だったならまず間違いなく威嚇としてガンナーズブルームをぶっ放す所までいったはずだ。 そういった意味ではオスマンは幸運だった。 「お、おぉ……ふぅ。大丈夫じゃ、わしはクールじゃよ……」 どうにか平静を取り戻したオスマンは改めて話を再開した。 その後何とか状況を理解してもらって和解はしたらしい。 しかし彼は激しい戦闘を行っていたのか、酷い怪我を負っていた。 一応命を救われた事になるのでオスマンはその男を学園に連れ帰り治療する事にしたのである。 怪我は大きかったものの幸いにして命は取り留めた。 しかし事情を聞いても彼は頑として自らの事を話さなかった。 オスマンが聞き出せたのはかろうじて彼が『ハルケギニアではない場所』から来たという事だけだった。 そして彼は傷が快復すると、柊達と同じように文字を学びながら元の場所に戻る方法を探し始めたという。 「……で、そいつは今どうしてんだ? まさか戻る方法を見つけて帰ったのか?」 ようやく目的の話題になってきて柊はオスマンに詰め寄った。 しかし彼は悲しそうに首を左右に振ると、 「亡くなった。一ヶ月程後の事じゃ」 「……何かあったのか?」 「何もなかった。彼は図書室に篭って調査し通しとったんで、何も起こりようがない。一週間ほどが経って、彼は唐突に倒れたのじゃ」 原因はまったくわからなかった。 出会った時に負っていた傷は総て治療したし、毒の類に冒されているという事もなかった。 しかし彼は一向に快調の兆しを見せずどんどん衰弱していき……そのまま息を引き取ったという。 結局彼は、オスマンに詳しいことを何も語らずに逝ってしまった。 「高名な水メイジに診せたところ、何やら身体の水の流れが人間とは思えないほど異常じゃったと言っておったが……」 「……!?」 それまで沈黙を保っていたルイズの顔色が変わった。 彼女は柊を押しのけてオスマンに詰め寄ると、酷く切羽詰った様子で訴える。 「オールド・オスマン! それって、病気か何かだったんですか!?」 「わからんよ。さっぱりお手上げじゃ……彼は自分で持っとった薬を飲んでおったがわし等には渡してくれなんだし、結局効かなかったようじゃがの」 「薬……!?」 ルイズは呻くように言うと、次いで柊を振り返った。 そして今度は柊に向かって言う。 「柊、何か知らないの!? あんたの世界の人間だったんでしょ!?」 今まで見たこともない、張り詰めた表情のルイズを見てエリスは困惑しながら柊に眼を向けた。 彼は顎に手を当ててしばし思案すると、オスマンに向かって尋ねる。 「あんたが会ったそのウィザード……なんつうかこう人形みたいな感じじゃなかったか? 表情が読めないっていうかそもそも感情がないっていうか」 「む……その通りじゃ。何を言ってもほとんど表情を見せぬし、最初顔を見たときはガーゴイルかと思ったぐらいじゃ」 言い当てられて驚きを見せたオスマンから目を離し、柊はガンナーズブルームを見やる。 「……絶滅社の強化人間か人造人間だな。多分調整ができなくなったから……」 侵魔に抗するために人為的な投薬と強化処理を施したウィザード――それが強化人間や人造人間である。 強化人間である緋室 灯に代表されるように、彼女等は通常のそれに比して高い戦闘能力を得られる一方で、 感情や形成人格の欠損・日常に対する適正の欠如・過剰強化による精神肉体への悪影響などといった副作用も抱えてしまう。 これらを緩和するために必要なのが『製造元』で行う調整作業だ。 この作業は強化度合いによって頻度も異なる。 緋室 灯は月に何度か絶滅社で調整をしているし、酷い例では調整を行ってなお『耐用年数』が二十年に満たない個体も存在するという。 現在のファー・ジ・アースでさえそうなのだから、三十年前ではより調整作業は必須のものだっただろう。 当然の事ながら、異世界では調整などできようはずもなかった。 「調整? その調整っていうのをすれば、病気が治るの?」 「根治はできねえかもしれねえけど……調整を受けてる限りなら、まあ魔王とドンパチやらかすぐらいには元気だな」 「そう……ファー・ジ・アースにはそんなのがあるの……」 「……ルイズさん?」 エリスは先程からどうにも様子がおかしいルイズを心配そうに覗き込んだが、彼女は逃げるようにエリスから顔を逸らすと引き下がってだんまりを決め込んでしまった。 柊とエリスと互いに顔を見合わせて首を捻るが、思い当たる事がある訳もない。 「……まあともかく。わしの知っておる『破壊の杖』にまつわる由来はこれくらいじゃな」 「あ、あぁ、すまねえ。参考になった……」 参考にはなったが、手がかりは結局何一つ得られなかった。 やはり地道に探すしかないということなのだろう。 「ありがとうございます、学院長」 折り目正しく頭を垂れるエリスにオスマンは一つ頷くと、ふと思い出したように『破壊の杖』に歩み寄った。 「一つ聞いておきたいことがあるんじゃが、よいかね?」 「俺にわかる事なら……」 「この『破壊の杖』は、まだ"使える"のかね?」 「……」 持ち主のウィザードが亡くなった後に状態保全の魔法である『固定化』を施したが、何をどうやっても彼が使っていた時のような力は発揮されなかったらしい。 柊は許可を得てガンナーズブルームを抱え上げると、軽く状態を確認する。 そして囁くように二言三言何かを呟くと、首を左右に振った。 「ダメだな、使えねえ……少なくともこの世界の人間には無理だし、俺とエリスにも無理だ」 躯体内部に施されている圧縮弾倉――月衣の技術を応用して空間を圧縮し、その中に弾頭を収めている――にはまだ十分に弾が残ってはいた。 だが、弾倉から弾を取り出すためにはロックを解除するキーコードが必要になるのだ。 知っているコードをいくつか試してみたが、弾倉が開放されることはなかった。 大抵は規格ごとに統一されているが三十年前ならコード自体違う可能性は高いし、個人で設定していたら事実上本人以外には扱えない。 ガンナーズブルームの機構に詳しい人間ならともかく、その分野に詳しくない柊ではコレを使うことは出来ない。 ――もっとも『武器』としての機能が使えないだけで、『箒』が『箒』と呼称される所以といわれている機能については問題ないようだが。 ガンナーズブルームを元の場所に戻しながら答えた柊を見ながら、オスマンはふむと顎に手を添えた。 しばし何やら考えるような素振りを見せると、彼は柊に向かって口を開く。 「なら、この『破壊の杖』はキミに預けよう」 「え!? これってここのお宝みたいなモンだろ!? いいのかよ!」 「構わんよ。元々わしの私物のようなものじゃし、あのような危険な力が不埒者に使われるのを防ぐためにここに収めたんじゃからな。 使えぬというなら、これはもうわしの恩人の形見でしかない」 言いながらオスマンは『破壊の杖』に手を添え、昔を懐かしむように眼を細めて言葉を続けた。 「それに、彼も生前はキミと同じように元の世界とやらに帰ろうとしておったが、結局それは叶わなんだ。 ならばせめて、これだけでも故郷に帰してやってくれんか」 「……。わかった」 老人の言葉に柊は静かに頷くと、ガンナーズブルームを手に取った。 それはウィザードとして鍛えた柊であってもそれなりに取り回すのに慣れがいるほどに重量がある。 だが、この重みは単にモノ自体の重さだけではないような気がした。 「少々かさばるが、君なら大丈夫じゃろう?」 「ああ、大丈夫だ。ちゃんと元の世界に返すからよ」 「他にもいくつか彼の遺品があるが……それはどうするね? 結構な大きさの水晶なんじゃがのう」 「……。いや、それはいいよ」 言いながら柊はガンナーズブルームを月衣の中に収納した。 オスマンの言っているそれはおそらく特殊弾頭――魔力水晶弾だろう。ガンナーズブルーム使いなら持っていてもおかしくはない。 通常弾が使えなくともそれがあれば射撃武器としての運用は可能だ。 ……が、柊はそれを貰おうという気はまったく起きなかった。 もとより柊の専門は剣であって射撃武器は好みではないし、何よりそれではオスマンに伝えた言葉も渡してもらった意図にも悖ってしまう。 オスマンは像が揺らいで虚空に消えていくそれを名残惜しそうに見届けた後、三人を眺めやって告げる。 「この事はくれぐれも内密にの。ミス・ロングビルは規則や何やと喧しかろうし、コルベールに至っては言わずもがなじゃからの」 「……わかりました」 「けどよ、いくらなんでもあんなのがなくなったらすぐにバレるんじゃねえの?」 「何、近いうちに模造品でも作って飾っておくわ。どうせ誰にも使えんのじゃから、それで十分じゃろ」 闊達と笑いながら言ってのけるオスマンに三人は顔を見合わせると、呆れたように溜息をついた。 ともかく、これ以上ここで得られそうな情報はありそうにない。 三人はオスマンに促され宝物庫を後にした。 部屋を出る間際、ふと思い出したように柊はオスマンに向かって言った。 「……今度時間がある時でいいから、その人の墓とかに案内してくれねえかな。ちゃんと挨拶しときてえから」 「……お安い御用じゃ」 照れくさそうに言う柊をまじまじと見やった後、オスマンは破顔して彼の肩を叩いた。 前ページ次ページルイズと夜闇の魔法使い